ドクターマーチンの10ホールブーツを、高校2年生の誕生日に親父に買ってもらった。
厳密に言うと
「ブーツがほしいから買ってくれ」
「ブーツっていくらぐらいするの」
「まだどれにするか決めてないよ」
「じゃこれで好きなの買ってこい」
で2万円渡された。
だから正式にはブーツを買ってもらったというわけではなく、自発的に買いに行った。
なぜドクターマーチンなのか
その頃ファッションにはあまり詳しくなくて、いくらぐらいのものを買えばいいやら、ブランドは何やら、よくわかっていなかった。
名前を知っていたのはレッドウィング、ドクターマーチン、ダナーくらいのものだ。
雑誌でブーツを見たときの印象は
レッドウィング→ちょっと高い
ドクターマーチン→安い
ダナー→イモい
程度。
2万円をオーバーしても少しくらいなら自分で足して何か買おうと、渋谷に繰り出した。
渋谷の地理も大してよくわからずなんとなく渋谷に行ったため、どこで買ったのかは覚えていないのだが、直営店でなかったことは確かだ。
その店に入っていくと気のいいおじいさんみたいな店員が声をかけてきた。
「お兄ちゃんブーツ探してるのか」
「どれにするかは決めてないけど」
「ドクターマーチンは知ってるか」
「ああじゃあそれを履いてみます」
「お兄ちゃんは絶対このサイズだ」
「見た目で足のサイズが分かるの」
「俺は何故かわかっちまうんだよ」
まさかのぴたりサイズだった。
今でも不思議だ。
当てずっぽうだったのかもしれないし鑑識眼のたまものかもしれないが、なんとなくぼくはそこで感動してドクターマーチンを買うことにした。
2万で確か、足りたと思う。当時は。
もちろんイングランド製と中国製があることも知らないし、鳩目の数にも色々種類があるのも知らなかった。
ただその時に出会ったのがたまたま中国製の10ホールで、26歳の今でも履いているというわけ。
今ではもちろん、ドクターマーチンに対する知識も、ちゃーんとある。
イングランド製と中国製
イングランド製と中国製と言うとなんだか中国製のほうが劣ってるような響きになってしまうけど、そこまで大きな差はないと思う。
使われてる革質も大して変わらない(というか同じだと思う)がイングランド製のが作りが雑らしい。
中国製のがしっかりしているが、一番大きな差異はトゥ部分の鉄板の有無だ。
イングランド製には鉄板が仕込まれていて、中国製にはない。
値段はイングランド製のが倍くらい高く、要するに金持ち且つケンカが強いのがイングランドだ。
イングランド製、のほうが響きはいいけど、またドクターマーチンの靴を買うならわざわざ高いイングランド製を選ばないような気がする(選ぶかもしれない)。
まあ、その程度の差で、ほとんどはこだわりの問題だ。
超頑丈
こいつが10年選手のドクターマーチン。
10年経て、剥げてすらない。たぶんメンテをしてやったのなんて片手で数えるくらいなのに。
革で出来たレインシューズとすら思っていて、通常革製品なら避けたい雨の日でもガンガン履いていたというのに。
もちろん愛着がなくてそうしてるわけではなくて、この屈強さにめちゃくちゃ信頼を置いているからだ。
革の良し悪しには様々なファクターがあるけど、頑丈さについては今まで見てきた革製品で最強である。
ほぼノーメンテでこのルックスを保っているのはかなりのものではないだろうか。
プチニューの裾が狭くてちょっと履きにくいけど、相性はよい。
元々の黒い紐が切れて以来白い紐を使っているのだが、紐が切れた以外問題らしい問題すら起きていない。
ソールはまあ、減ってきてはいるけど、10年で「あー、減ったな」くらいのレベルというのはやはりタフだ。
まとめ
特にすごいのは10年の間に飽きている時期がほとんどないことだ。
長く愛用しているものでもタイミング的にしばらく使ってなかったりするものだが、10ホールはコンスタントにずうっと履き続けている。
もしかしたらファッションに関する買い物で人生一の買い物かもしれない。
ナイス高2のハル。