ジーンズを構成する要素
・生地
・色落ち
・形
1000円で買えるジーンズもあればリジッドで3、4万円もするようなジーンズもあるが、果たしてよいジーンズとはなんなのか。
生地、色落ちについて
こんだけ色々服がある中で、ジーンズほど生地に拘られているものもないんじゃないかと思う。
「このTシャツは……ああ、なんだ、アメリカンコットンじゃないのか。じゃ、いらないです」
こんなTシャツマニアがいないとも限らないけど、まあいないに等しいレベルだろう。
(書いてからバンドTはパキ綿!みたいな人いるなー、と思った)
ジーンズフリークたちは生地にうるさい。
製造工場や厚さ(重さ)、様々な自分の好みを満たすものを探し続けている。
よい生地の一つのファクターとして、よく取り上げられるのが「セルビッジ」だ。
セルビッジって何?
ここは結構分かりにくい部分で、端的に言うと折り返した生地の端っこがこのように赤い耳がついているもの。
この赤耳部分をセルビッジと言うこともあるし、赤耳のついている生地自体をセルビッジと言うこともあるので分かりにくい。
が、とにかく、これがふわっとセルビッジと思ってもらえれば差し支えない。
セルビッジではないジーンズはこんな感じ。
で、セルビッジ=いい生地 という通念があるのはなんで?という話。
セルビッジデニムは旧式の織機でしか作れない生地。
旧式の織機はメンテが面倒くさくてランコストが高く、安く大量に織れる現代の機械よりも扱われる工場が少ない。
その反面、大量生産では出せないムラ感や生地の凹凸があり、それがジーンズ自体の色落ちの「味」ってやつに一役買う。
要するに極端に言っちゃえば工業製品としてのジーンズか、作品としてのジーンズか。みたいな。
セルビッジがついているからいい色落ちをする、というわけではなくて、いい色落ちをするとされている生地にはセルビッジがついている、ってことね。
ただ、噂によると大量生産型のジーンズに端っこだけ赤耳をくっつけてセルビッジ生地の振りをしてるのもあるとかないとか。
セルビッジ生地がほかのデニム生地に比べて生産が大変だがジーンズらしいムラ感に影響する、ってのはOK。
でもセルビッジ=格好いい、てのは一概にはOKではない。
ヴィンテージ・リーバイスや現行リーバイス、LVCでも高価格帯のものは大概耳付きなわけだが、じゃあそれがあなたの好みのジーンズなのかというのはまた別なわけで。
古きよき時代のジーンズがいい、という人もいれば、大量生産型のムラのないのっぺりした色落ちのジーンズがいい、という人がいてもおかしくはない。
もっと言えば、現代の織機で作られていても、好みの格好いい色落ちになるのであれば、別に耳があるかないかは関係ない。とも言える。
ただ単純にロールアップして赤耳があると一目で「あ、拘ってる人なんだな」みたいなアイコニックな魅力があるのも確か。
色んなブランドが色落ちを模索する中で旧式織機にたどり着いているのだってひとつの答え。
ユニクロまでセルビッジジーンズをリリースしてしかもめちゃくちゃ安いから、もうそこら辺のちょっとした神話みたいなものは崩壊を迎えているのかもしれないけどね。
さらにはそこに厚さや染めの濃さ、糸の種類などでも随分ジーンズの個性が変わってくるから、思考停止で旧式織機万歳!とはいかないような気がする。
「セルビッジはよい生地の証。ただしセルビッジでなくても格好いい色落ちのジーンズもあるし、セルビッジだから必ずしも格好いい色落ちになるとは限らない」
シルエット
レプリカ系ブランドはオールド・リーバイスの生地感を再現するために試行錯誤しているから、当然だいたいのモデルはセルビッジ。
オールド・リーバイス好きってのは大概アメカジ好きで、アメカジ好きってのはスリムシルエットをあまり好まない。
つまり
世の中の大抵のセルビッジジーンズ=太めのモデル
ざっくり言うとこうなる。
細いのもあるんだけど。
例外もあるがセルビッジジーンズはストレッチ効いてるものはほぼないので、スキニーパンツのような細いモデルは少ない。
ユニセックス展開してると小さいサイズ細いサイズもあったりするが、ここまでジーンズに拘るのは大抵男。
ぼくの知る限りセルビッジジーンズをユニセックスでサイズ、型を豊富に揃えているのはA.P.C.くらいのものである。
さまぁ~ずみたいなアメカジ的シルエットのジーンズはちょっとな~もっと現代的で、それでいて色落ちにも定評があるジーンズが欲しいな~
こう思う人がきっとたくさんいる。
ぼくもそうだし。
ただ意外とこうなってくると選択肢は少ない。
いわゆるデザイナーズブランド、特にコレクションに登場するようなブランドはまずものを長く愛用するという概念から離れている。
最先端なのがモードなのだ。
ジーンズ好きのジーンズ好きによるジーンズ好きのためのブランド。
これは前述の通り大抵太いジーンズ。
スキニーパンツの裾幅を15,16cm程度として、17cm程度でもワタリによってはだいぶスリムな形となるが、ちょっとググってみてもらえばわかるがここまで絞ったレプリカ系ジーンズはほぼない。
ジーンズ自体に定評がありなおかつ現代的な細身モデルもラインナップしているのは
A.P.C.、Nudie Jeans、Naked & Famous、DENHAM、まあ他にもあるだろうけどそんなに多くはない。
別にタイトシルエットこそ正義だとは思わないけどね。
選択肢としてさ。
「細身のジーンズにはストレッチ入りがち、生地に拘られてシルエットの現代的なジーンズは稀少」
結局
長々書いてきたけど、理想のジーンズは追い求めれば追い求めるほど難しいものだなと思う。
そんなに深く考えずなんとなく買ってなんとなく穿いていつの間にか唯一無二の色落ちになっている、なんてのがベストなんじゃないかな。
そういう意味では服に興味のないおじさんが買ったユニクロのセルビッジジーンズが、数年後めちゃくちゃ格好よかったりするような、そんなドラマも面白いね。
やたらと稀少価値だけ先行して価格の上がったジーンズも考え物。
ぼくはやはり2万円程度がよいジーンズのラインだと思う。5万円とかしちゃったら、どんだけものがよくても、やっぱなんか、違うわ。
結局!
ほしいと思ったジーンズが、一番格好いいジーンズ!
投げやり お疲れっした!