Beckについて
ぼくが音楽に興味を持ちだしてから今に至るまで、ずっと好きなミュージシャンだ。
もちろん、バズリズムは録画する。
先日の来日公演に行けなかったけれど、友人にTシャツは買ってきてもらった。
Beckとの出会い
ベックとの出会いは高校2年生の頃だと思う。
MTVでE-PROのミュージックビデオが流れていた。
それで興味を持ったぼくは何枚かのアルバムをブックオフで購入した。
何曲か知っているものがあった。
学校内で楽器をやっている奴の大まかに言うと
・銀杏BOYZやELLEGARDENのフォロワー
・L'Arc~en~CielやGLAYのフォロワー
・Green DayやSUM41のフォロワー
こんな感じ。
当時のぼくは趣味の合うバンドメンバー探しに苦労していた。
そこでベックを知り、歌、プロデュース、楽器、彼のひとりでなんでもやってしまうスタイルに心酔することになる。
似たような理由でレニー・クラヴィッツも。
そして一時期バンドを組むのは諦めMTRで宅録に走るのだけれど、それはまた別のお話。
Beckの音楽性
売れるミュージシャンはふたつのパターンがある。
ひとつは世の中にウケるものを計算できるタイプ、ひとつは天才肌の根っからのアーティスト(もちろん、どんなミュージシャンも作品をパッケージし商品にするのならば、ある程度世間の反応は読むが)。
ベックは圧倒的に後者だと思う。
彼の音楽性は一貫していない。
恣意的に言えばベックだという一貫性はあるのだけれど、グランジ、ヒップホップ、パンク、ファンク、ロック、フォーク、多種多様なバックボーンがその時々で違った形で料理され楽曲となっている。
つまり、アルバムごとにまるでカラーが違うのだ。
先のLoserのオルタナ感インディー感満載なデビュー時、Sexx Lawsのファンキーでディスコな時期など。
多様性を示す楽曲を紹介するので、気になったものがあればアルバムを聴いてみてほしい。
・Lost Cause(Sea Change収録)
・Black Tambourine(Guero収録)
・Where It's At(Odelay収録)
アルバム 『Colors』
つい先日出た『カラーズ』というアルバムは、紛うことなき傑作だった。
ベックのポップさを凝縮したかのようなアルバムである。
ぼくの中で2010年代のベストアルバにはアークティック・モンキーズの『AM』が君臨していたのだけれど、今それと激しく競り合っているのが『カラーズ』だ。どちらも最高なのは間違いない。
ベックはあまり時代に即した作品を作らない。その時に作りたいものを作っている、というような印象である。
が、カラーズはいい意味でベックらしくない、突き抜けてリスナー目線のアルバムなのだ。
純粋に楽しく、いい音楽とは何か。これを追求した結果が『カラーズ』として結実している。
「今まではあえて作りこまず、ラフな仕上げのまま作品にしたことも多いが、今回はアクセルをべた踏みした」とベックは語る。
御託はこれぐらいにし、とにかく聴くべきだ。
このアルバムは2017年のマストアイテムである。
Beckという人間
まず思うことは、非常にルックスが端正だ。
王子様然としていると言ってもいい。
アメリカ人にしては小柄なのだけれど、そのルックスから多くのファッションブランドからラブコールを受け親交も深い。
エディのいた頃のディオール・オムのショーの音楽を担当したり、サン・ローラン(これもまたエディ)のモデルをやったり。
日本のブランドとも仲が良くナンバーナインとコラボしたり衣装にしたりしていた。
また、アルバム『モダン・ギルト』ではズッカともコラボ。
ちなみに、確か10年ほど前の来日の際は、渋谷のパルコのズッカでプライベートの目撃情報がある。
ファッションアイコンとしての側面を持っているベックだが、彼はミュージシャンとしてデビューする前はホームレスだった。
ロサンゼルスで産まれ、母子家庭で育ち、高校を中退し、ニューヨークでギターだけ持って宿無し生活。
そんな中インディーレーベルから出したLoser収録アルバム『Mellow Gold』が100万枚売れ、彼はシーンに躍り出る。
なんというか、マンガみたいな人物。
こういうのは得てして脚色されていたり、時間を経て話が大きくなってしまっていたりするものだ。
でも、彼のことを知れば知るほどに誠実で真っ直ぐな人間であることが分かる。
世間のイメージとか、下らないハイプなんてどこ吹く風。
飄々と、淡々と、滔々と。
気の向くままに表現するだけ。
それがベック・ハンセンである。
最近の彼のインタビューから印象深いものを紹介する。
――ファレル・ウィリアムスとの仕事を通じて学んだことは?
ベック:彼のオプティミズムとポジティヴさ。それらは自分が作りたかったアルバムに求めていたものだった。彼の周りにいるだけでとても新鮮だった。音楽が解体され、やや評論的な環境に慣れてたから。
――で、アンチエイジングの秘訣については話し合った?
ベック:(笑)僕の帽子に興味を示していたのは記憶してるよ。当時よく帽子を被ってたからね。
――『モーニング・フェイズ』のジャケットで被ってるやつ?
ベック:そう。「どこで買ったの?」って聞かれたよ。
――彼が巨大な帽子を買うことにしたのは、君のおかげだったのかもね。
ベック:それは分からないよ。なんせ、彼の帽子の方が全然大きいからね。ベック 最新インタビュー~最新作『カラーズ』、故トム・ペティ、ファレルとのコラボを語る | Special | Billboard JAPANより
まとめ
御歳47にして、やっとそのベビーフェイスにも時間を感じるようになってきたベック。
でも、彼はキャリアの中で絶頂にいたことはない、と語る。
今が成長期なのだ、と。