Levi's 501が似合わないことについて

リーバイス501XXの革パッチ

リーバイスの501と言えば、誰もが知っているアイコンであり、ジーンズの原点にして頂点。
これはもはや常識。
それなのに、ぼくは501が似合ったためしがないのである。

何度も試着をしては結局買わない、というのを繰り返し続けている。

ぶっちゃけ、501を穿かないなんて、ジーンズ好きとしては二流三流じゃね?
っていう、ステレオタイプな古参ジーンズマニアがいるのも、なんとなくわかる。
得てしてそういう人々は、ファッションとして自分に似合うものかどうかよりも、ジーンズが好きというほうが先行しているからだ。

ぼくはそうではない。

そうではないが、やっぱり、なんとなく、501を特別視するのは分かる。

なぜぼくには501が似合わないのか?

ぼくだけでなく、体型によっては多くの人が頷けると思う。

ガタイが小さい

リーバイスは、アメリカのブランドだ。
リーバイス501が平均的なアメリカ人のスタンダードだとすると、それより体格の小さい日本人にはどちらかと言えばルーズに感じられる仕様なのは必然。

スポーツやってたりすると日本のブランドでは着られるサイズがない、とインポートを選んだりする。その逆だ。

ぼくは上背はそこそこあり179㎝だが痩せ型なのでどうしてもお下がり感が出てしまう。

骨盤が小さい

ガタイの件とかぶるが、とりわけぼくはケツ周りが小さい。
A.P.C.ジーンズなら26インチにねじこめる。

いわゆるストレートのタイプのジーンズは、骨盤が小さいと相対的にボンタンみたいなシルエットになってしまう。

男性と比較して骨盤の大きい女性は、むしろ501が似合うケースが多いと思う。
深い股上があるため、ハイウエストにしたりジャストで穿いたりアレンジの幅も多い。

まあ上半身のガタイとのバランスが男性のそれとは全然違うからああだこうだ言ってもって感じではあるけれど。

女性が穿く501

男性が穿く501


女性と痩せ型の男性の501の着用比較。
これらの501は同じものではなくまた501にもシルエットの変遷があるために純粋な比較ではないが、傾向として骨盤が張っていた方がストレートジーンズの綺麗なラインが出やすいという説の補足にはなるだろうと思う。

似合わないのはぼくだけなのか?

否!
前述のとおり、アメリカ人がスタンダードとするサイズ感は、多くの日本人にはルーズなのだ。

チャンピオンのスウェットもオーバーサイズが流行しているからUSAのリバースウィーブとかみんな着てるけどさ、時代が違ったら相当変なサイズ感だったりするぜ。

ビームスがダブルアールエルに別注したジーンズがあって、企画者がこんなことを言っていた。
「どうしてもドカンと太いジーンズは、ぼくのような小柄な日本人には抵抗があって……」(雑誌に載っていた記憶で書いているので原文ママでない)
ビームスプラスとダブルアールエルのジーンズ


日本人に似合う型を作った結果、細身のシルエットにテーパードをきつめにかけている。
ビームスが言ってんだから。
日本人に501は難しいんだよ! ぼくだけが言ってんじゃねえぞ!

まあこのジーンズは丈詰めすぎだと思うけど、やはりテーパード感はあったほうがまとまって見える。

引用とは虎の威を借りることにも似たり。

リサイズ、カスタマイズ、アレンジ

現在ぼくが穿いている501CT(カスタマイズドアンドテーパード)は理にかなった商品だといえる。

501のベースは残しつつ、膝下を絞って使いやすいシルエットにしたものである。

この型番はもうなくなってしまったが、501T(テーパード)という形で残っている。
アメリカでの展開は分からないが、日本でそれなりにコマーシャルされていたのは、やはりぼくと同じような意見とか需要があったからだと想像できる。

501をカスタムした状態で販売しているのは邪道に感じられるかもしれないが、ふつうに販売されているジーンズをカスタムするという行為にはそれなりに歴史がある。

リーバイスストア新宿

これは現在でも行われているサービスで、買ったジーンズを職人と直談判でカスタムできるもの。
かなり細かないじり方もできるようだ。
リーバイス新宿のカスタムサービス

505C

これはリーバイスから505Cというモデルが出た際のデザイナーの言葉で、要するに「ジョニー・ラモーンが505を細くカスタムしてるのを見て思いついた」ということである。

The conception of the 505C came about just over a year ago. I'd managed to see a pair of Johnny Ramone's 505s and noticed he'd customized them by making the legs a bit slimmer.

スティーブ・マックイーン

以下はスティーブ・マックイーンの写真とそこから501をリサイズしていたのだろうという考察。


いつの時代でも自分により似合うものを生み出そうという動きはあったのである。

まとめ

定番商品は、これが正解だという顔をしている。
それが定番の所以だし、それが愛されてきた歴史も無視はできない。

けれど、必ずしも自分にフィットするとは限らない。

やっぱり今日もぼくは501が似合わないのである。