ジーンズのある生活について

gssmboyのファッション

誰でも一本くらいは所有しているだろうけれど、ジーンズというのは違和感の服だという。

何にでも似合うようでいて、何にも似合わない服。

ぼくたちはいかにしてジーンズと付き合うのか。
ジーンズはいかにしてぼくたちになじんでいくのか。

ジーンズの持つ違和感についてはこちらをどうぞ。


シンプルファッションとジーンズ

メンズのモノトーンコーディネート
まず大前提として、モノトーン、無彩色だけのコーディネートを封じられる、という枷がある。
ジーンズは強制的にブルーを差し込む。
全身をモノトーンでまとめてスニーカーにインパクトのあるものを持ってくる、とか、小物で色を差す、とか、そういう手法がまず消えるわけだ。

ファッションをミニマルにまとめる、シンプル志向な人には実際扱いにくい服だと言える。
アースカラー方面から攻めるパターンもあるけれど、穿けば穿くほどジーンズの明度は上がり、派手な印象に変わっていく。

そして穿きこんだ結果、ジーンズ単体で見たら格好いいけどコーディネートには組み込みにくい、なんてことが起きたりもする。

ブラックジーンズという選択

nudie jeans black coated denim
じゃあハナからブラックジーンズを選べばいい、とも言えるけれど、ぼくの知る限り穿きこんだ経年変化を楽しめるブラックジーンズというのはあまりない、もしくは存在しない
黒か藍色か、その小さな差は、何年かあとに大きな差に変わる。

ぼくが穿いた経験のあるブラックジーンズは思い出せる範囲だとユニクロ、GU、ヌーディージーンズのシンフィン ブラックコーテッド、リーバイス×Nハリウッドの517、だいたいこの辺。

ユニクロやGUは、自転車に乗って摩耗するのを前提で買った消耗品で、そもそも色落ちに期待はしていない。

ヌーディージーンズのシンフィン ブラックコーテッドはブラックジーンズの表面をコーティングで覆ったもの(エディ期のディオールがやってたみたいな、ぺたぺたした感じのやつ)で、独特の質感と光沢の楽しめるものだったが、ケツが余りすぎて手放した。
シンフィンは人が穿いているのを見ると格好いいのだが、自分でトライして結局売り飛ばすというのを都合2回やっている。

Nハリ517はかなり穿いて、最終的にはグレーのジーンズになった。
まあ、格好いい感じではなかったと思う。あれはソリッドなラインを真っ黒で楽しむ類のものだろう。

ジーンズはドレスになりえない

ゲオ店内の501CT
というわけで、ジーンズというのはどうやったってある程度はカジュアルな衣料でしかない。
かっちりした服装に合わせてカジュアルダウン、なんて手法もあるけれど、つまりは違和感があることを逆手に取ったやり方なのだ。

だからもう、それは前提にしておかないといけない。
綺麗なジーンズを1本、なんてファッショニスタは、色落ちし始めたら新しいのと交換すればいいから、話は別。でも、ぼくたちのようなジーンズ好きかつシンプル志向な人間は、自分のやり方を模索しないといけない

ま、そんなと大仰なもんでもないけれど。
いい歳した大人だから、カジュアルはカジュアルなりにうまくまとめていこうぜって話。

カルチャーを持たない大人はいかにして武装するか

オフホワイトのダサいコーデ
自分のやり方って何なのさ?
ってことになると結局これは経験則だという身も蓋もない話になる。

例えばストリートファッションというのは、ポップアートだったり、スケートボードだったり、自転車だったり、音楽だったり、そういったカルチャーがミックスされて生まれているわけだけれど、その過程を無視して結果だけ切り取ることで所謂量産型が出来上がる

雑誌、まとめサイト、そういうものでは充分に得られない何かが、「自分のやり方」を形成する。

ストリートファッションに限らずファッションにはある程度バックボーンがあるけれど、その経験を満足に持っていない人間が量産型から抜け出すには最終的にはマネーパワー、市井の人間がおいそれと買うことの出来ない価格の服に手を出せば簡単に差別化できる。
みんな買えないんだからさ。

こうして露悪趣味とも言えるような、センスはないけれど金はある、そんな格好のおっさんが生まれる。
経験どころか金を稼ぐ手段すら省こう、という若者はメルカリ、ヤフオクやブランド古着店でハイブランドを安く漁り、ワンルームのアパートにディスプレイし始める。

勝手にしやがれ

gssmboyのファッション
ジーンズは、シンプルの極致にいくことができない。
そして、ひと口にジーンズと言ったところで濃紺からライトブルー、ダメージ、シルエット、もう色々あり過ぎて最終的に着用者の価値観でしか測れない、単純過ぎて面倒な服。

手っ取り早く「お洒落っぽい格好」をするにはどうしたらいいか?
なんて質問があれば、ぼくはジーンズを薦めないと思うし。

ただもはやジーンズ愛好家たちはこういうのも織り込み済みで、そんなミスマッチ、錯誤感、違和感を楽しんでいるのだろう。ぼくも含め。
そもそも同じジーンズを毎日穿くなんて、お洒落からは程遠い行為なわけで、そのジーンズ愛と格好つけのバランス感覚がそれぞれジーニストたちの独自のファッション観になっていく。

似合うものを知ること

メンズのワイドデニム
新しい価値観というのは、風化するか、定着するか、だいたい二者択一だ。
例えば裾を切りっぱなしにしたジーンズが格好いい、となれば売れ始める。
サブリミナル的とも言える。

今はまだいいかもしれないけど、来年見たら「え、マジ? 何それ?」って感じかもしれない。

ワイドパンツが流行ったから太めのジーンズが売れ始める。

この辺のサイズ感って、自分に似合うか似合わないかを無視した話だと思うんだよね。
ぼくは自分が細いジーンズのが似合うのを知っているから食指が動くことはないけれど、まあ、流行ってればなんでもいいって言うなら止めないよ。

そういったニューウェーブがスタンダードになるかどうか、よく分からないけれど。

「自分の好きなもの」と、「世間で流行っているから欲しいもの」を混同するなよ。

まとめ

ジーンズで自転車をこぎ、スケートをプッシュし、コンクリートに座り込み、たまに洗う。
それの繰り返しが続く。

それ以上でも以下でもない。

お洒落にキメたければ、ジーンズなんか今すぐやめたほうがいい。