現在20代後半くらいの方にとって、クドカン作品と言えば
あまちゃんでも少年メリケンサックでも流星の絆でもなく、木更津キャッツアイだという意見も少なくないのではないか?
なぜか、夏になると池袋ウエストゲートパークか木更津キャッツが夜中に再放送されていたあの頃。
少年アシベみたいなものである。
放送されたら放送されただけ観ていたのである。
台詞も覚えてしまっているのである。
そんなガッツリはまっていた頃からいつの間にか10年くらい経ってしまっていた。
今改めて木更津キャッツアイの魅力を振り返ってみようと思う。
ぶっさんが死ぬ
ぶっさんこと主人公 田淵公平(岡田准一)は、ガンである。
第一話自身が意識不明になり病院へ運び込まれるのを過去の自分がメタ的に見ているところから、話は始まる。
木更津キャッツアイでは、常にこのぶっさんが死ぬ未来を下敷きにして話が展開する。
どれだけ馬鹿なことをやろうと、大笑いしようと、ぶっさんが死ぬことは登場人物にも視聴者にも呈示されている。
なんやかんやで助かりました!
は、ない。ぶっさんは死ぬ。
これがコメディに独特の哀愁を与えているのだ。
野球、ビール、時々泥棒。
うだうだした毎日、でも、たまらなく愛おしい。
野球になぞらえた展開
ドラマは全9回で、各回表裏がある。
まず表で話を展開し、途中で「ん?」というシーンが発生し、「実はこんなことが起きてました」と時間を巻き戻して裏の話を種明かしする。
この仕組みがかなり画期的かつ斬新で、毎回なにが起こるのかワクワクできるのだ。
登場人物のキャラが濃い
これはクドカン作品の特長とも言えるが、出てくる奴ら全員濃い。
主要の人物だけでも
ぶっさん
千葉県は木更津から一歩も出たことがない。ガン。
バンビ(櫻井翔)
童貞。高校時代ぶっさんとバッテリーを組んでいたが、サインミスで最後の夏を終えて以来不仲。
マスター(佐藤隆太)
居酒屋のマスター。髪が爆発している。唯一の妻帯者で嫁に頭が上がらない。嫁を先輩と呼んでいる。
アニ(塚本高史)
優秀な弟ありきでアニと呼ばれている。すごく馬鹿。みんなに下の名前を忘れられている。
うっちー(岡田義徳)
モヒカン。留年しているから先輩だがめちゃくちゃなめられている。頻繁にいなくなる。
スタイリッシュ
スタイリッシュというとちょっと違うような気もするが、各キャラの衣装やビジュアルがなんというか男心にぐっとくるものがある。
例えば
ぶっさんのスタジャン姿。
いつもだいたい同じ格好をしているのだが、ぼくの知る限りスタジャンの一番にあう男だ。
岡田准一というより、ぶっさんが。
アニのださいバイカーファッションも味があるし、キャッツの黒ずくめもいい。
みんないい奴
極悪人がほぼいない。
キャッツアイになって泥棒はするが盗んだものを悪用することは(ほとんど)ないし、ヤクザもでてくるが人情に弱い。
憎まれるキャラが皆無なのだ。
泥棒の話でも、終わり方はいつもさわやか。
ハイテンション
展開自体も早いし、登場人物が元気いっぱい。
これがぶっさんがガンであるという事実といいコントラストを産み、シリアスなときでも笑いを、笑えるときでもシリアスさを、というバランス感覚を産んでいる。
ギャグのセンスも今考えても全然古びていないし、クドカンはぶれていない。
特にうっちーのキャラクターは、こんな岡田義徳もう見られないだろうなというくらい振り切れている。
終わりに
長々書いたけど、要するに木更津キャッツ最高ってことです。
最後にどのシーンか言わないがぼくの好きなシーンを。
「エロ本隠しとくからさ」
泣けるシーン。