とてもわくわくしているし、久々に意気揚々とブログを書こうと思えるプロダクトである。
職人の手作りによって生み出される伝統的なもの。
かけずに、眺めていたいとすら思ってしまう。
前回のエントリ
金子眼鏡を選んだ理由
候補から金子眼鏡を最終的に選んだ理由は色々あるが、最終的にはデザインと色だ。
品質はEYEVANも999.9も上等で文句はない。
じゃあ決め手は何か? やはり見た目。
更に言うならば、日本製(これは候補の全ブランドそうだったけれど)、手作り、セルロイド素材など、男の満足を誘うものがあった。人には伝わらなくても。
KC-59のレビュー
品番KC-59はクラシックなキーホールブリッジのウェリントンフレームで、天地幅は大きめ。
カラーはチョコササという。カタログ的にはCHSと表記。
ササ柄というのはセルロイドの昔ながらのカラーリングらしく、斜めに流れる感じでマーブルカラーになっている。
チョコササは濃い目のブラウンとクリアカラーのマーブル。
遠目で見ればかなり黒っぽいが、近くで見ると色味を感じる。
光に透かしてみると(ピンボケだが)
このようにクリアカラーとのマーブル感がわかる(向こう側が透けている!)。
ノー芯という、セルロイドのフレームならではの製法がある。
この透かした写真からわかるように、フレームの内側に金属の芯を通していない。
通しているとこのようになる。
この金属芯はフレームの強度を上げるために使われている。
セルロイドは一般的なフレームに多いアセテート素材よりも硬質で、補強する必要がないので、ノー芯製法が可能になっている。
ゆえに、チョコササのようなカラーだと、その材の本来のカラーを金属芯に邪魔されずに楽しむことができる。
色についての余談
この色を選んだのは、ぼくの中では結構イレギュラーな選択で、ここ10年くらい記憶にある限り眼鏡は黒いセルフレームしか選んでいなかった。
1度リムの下半分がクリアになっているツートーンのものを選んだが、それもフレームの大部分は黒だった。
新しい眼鏡を買うときは、いつもと違う感じを試してみたい欲と、安定を求める欲が戦い、いつもいつも後者が勝ってきたのである。
しかし、ササ柄が前述のようにセルロイドのノー芯製法をより楽しめるカラーであることや、ぼくの髪色がアッシュカラーであること、店員さんの後押しなどで、ぼくは今回黒いフレームを選ばなかった。
ディテール
カシメ飾り(目尻の部分に来る金属パーツ)はサンプラチナ製。
といってもサンプラチナなんて言葉は聞いたことがなく、調べてみた。メガネのフレーム自体に使われたりもする金属だそうだ。
職人が磨きをかけることで独自の光沢を出すとのこと。
このカシメ飾りがデザイン的にもアクセントになるし、丁番をしっかりと固定するという機能面でも意味がある。
安物の眼鏡を長い間使っているとぐらついてくるのは、ここが粗悪だからだ。
テンプルの内側には金色で
金子眼鏡 CELLULOID
HAND MADE IN JAPANの刻印。
逆側には創業年。
セルフレームでは珍しく、クリングス(鼻あて)のついたタイプ。ここにも金子の文字。
これは、日本のブランドならではなのかな? 憶測だけれど。
鼻の低い日本人の顔でも快適にセルフレームがフィットするように工夫した結果ではないかと思っている。
追記:インポートブランドでもちょくちょくあるようなので、必ずしも上記の通りではないかもしれない。
店員さんが桐の箱と言っていた。マトリョーシカ。
眼鏡ケースはサイズ大小2種類、それぞれ黒と茶色があった。あと、布製の。
好きなのを選んでくれとのことでこれにした。
かけ心地
今まで使っていたEFFECTORのフレームよりもボリュームがないので、感覚的に軽く感じる。
一般的にはKC-59も結構がっしりした部類に入ると思う。
フレーム自体のかけ心地(やっぱり鼻あてがある方がしっくりくる)もそうだが、店員さんの調整のクオリティもかなり大事で、ぼくは20分くらいかかった。
何度もやり直してもらった結果、快適にフィットしている。
この作業を雑に適当にやるような店員がいる店では、買いたいとは思えない。
他の店舗がどうだかわからないが、ぼくの行った店舗は美容室みたいに鏡が前に張ってあって椅子があるという、フィッティング調整用の席が2つもあった。
セルロイド素材はアセテートよりも硬いので、調整が難しいだろうと思う。
Jinsなどの格安メガネ店でも、たまにセルロイド素材を売りにしたものが販売される。
ぼくが以前買った黒とクリアのツートーンの眼鏡はJinsのセルロイド製だった。
耳が痛くなったり、鼻が痛くなったり、なかなか快適なフィットにはならなかった。
セルロイド製のフレームは、しっかりとした店員の質が担保されていることが必須条件で、格安メガネ店ではなかなか難しい。
格安店でも通常より高級感を演出した広告を打たれるセルロイドフレームだが、その扱いや、アフターケア(だんだん光沢がなくなってきたりすると、金子眼鏡では磨きをかけてくれる)などのことを考えると、結果的に使い捨て感覚になってしまって、ハリボテの高級感に終わってしまうのかなという気がする。
めがねにどれくらいのお金をかけるのかは各々の感覚だし、格安店を全く否定はしない(セルフレームはちゃちいものが多いけど、軽さを売りにしたタイプはよくできていると思っている)。
ただ、どうせなら長く愛せるもののほうがぼくは好きだし、そういう余計な点を心配しなくていいのも老舗ブランドの強みだ。
まとめ
とても気に入っている。
EFFECTORも好きだったけれど、それとは違った路線の良さがある。
ロックは好きだし、日本の歌謡曲もいいよな、みたいな。
金子眼鏡の商品は、とても美しいと感じる。
繰り返しになるが、安いものを早いサイクルで使いつぶしていくのは決して否定しないし、そういうスタイルがフィットするものはある(下着とか)。
ただ、これを買って、とても満足していることは記録しておきたかった。
すっかり金子眼鏡のファンになってしまったのだ。