HAMILTON Jazzmaster Day Date Autoについて

Hamilton Jazzmaster Day Date Auto

腕時計にいったいどんな意味があるのだろう。
時間の確認をするための道具なのか、地位や富を誇示するアクセサリーなのか。

それらに正解はなく、めいめい勝手に決めることなのだ。
だから、腕時計なんて必要ないと思う人がいても少しも不思議ではない。
それでもぼくは、腕時計をしていないとひどく落ち着かない。

HAMILTONとは

細かいところは省いて、大まかになぞると……

1892年にアメリカで創業し、鉄道時計や軍用時計を供給していた。
エルビス・プレスリーが愛用したベンチュラなど、多くの名作を残している。
2000年代に入り本拠地をアメリカからスイスへ移し、現在ではアメリカンスピリットとスイスのテクノロジーを融合したプロダクトを作り続ける。

というような感じのブランドだ。

Jazzmaster Day Date Auto

ハミルトンの化粧箱
ハミルトンの中核をなすモデルは、ブランドの歴史に強く根差したミリタリーウォッチのカーキシリーズ、エルビスが愛用した時計史上初の電池式であるベンチュラシリーズなどがある。
ジャズマスターはその名の通り、音楽をルーツとしたシリーズだ(ジャズもアメリカが発祥)。
ミリタリー系のモデルとは対をなすような、端正でドレス寄りなラインナップになっている。

ぼくが愛用しているのは、曜日と日付の確認できるデイデイトの自動巻きである。

ディテール

ハミルトンのジャズマスターデイデイト

ハミルトンのジャズマスター デイデイト

Hamilton Jazzmaster Day Date Auto
ポリッシュとサテンを組み合わせた仕上げ、細いドルフィン針、くさび型のインデックス。
これらがぱっと見てわかる特徴だ。
風防はサファイアクリスタル。
SUN、MONなどではなく曜日がフル表記される時計は珍しい、らしい。

数字表記のない文字盤はブラックだが、真っ黒というよりはややグレーがかっていて、光沢がある。

全体的に非常にシンプルにまとまっている。
が、ベゼルの仕上げや立体的なインデックスによって、角度で表情が変わるのが楽しめる。

裏面

Hamilton Jazzmasterのシースルーバック
裏面はシースルーバックになっていて、その周りにスイス製や5気圧生活防水などの記載がある。

中に見えるのはETA社のムーブメントをベースとしたH-40というキャリバーだ。

これがすごい。
腕時計、とりわけ機械式のものは精密機械がゆえに個体差が生じるのを避けられないが、その中でもぼくが当たりを引いたのか、日差がおよそ+3秒くらいで落ち着いている。
ほとんど狂いなく動き続けるクォーツ式に対し、一般的に機械式は-10~+20秒くらいまでは許容範囲内と言われている(時計は遅れるよりは進む方がいいので、技師は+寄りに調整する)。
日差+3秒はかなり優秀。しかも厳しめに見て+3秒という感じ。ほとんど狂わない日もある。

それでいて、パワーリザーブが80時間もある。
機械式の時計は大まかに自動巻きと手巻きがあり、これは名前のAutoの通り自動巻きだ。腕につけていれば日常生活の動きの中で勝手にゼンマイが巻かれ、動き続ける。
パワーリザーブ80時間は、完全に巻き上がった状態ならば80時間駆動するということである。
金曜日に帰宅し土日に使わなくても、月曜日にまだ動いている。
しかも、ほとんど狂っていない。

これにはとても驚いた。
機械式の時計はクォーツに比べ手がかかるが、それにしたってずいぶん優等生である。

側面

ハミルトンのジャズマスター デイデイトのリュウズ
リュウズは頭文字Hの一体型。
本体の厚みは抑えられており、シャツの袖にも干渉しない。

時計以外でもそうなのだが、たとえばスマホや財布。
あまりに小型薄型軽量型になると持っている実感がなく「あれ?」と不安になることがある。

その点ジャズマスターデイデイトはとてもちょうどいい塩梅で、邪魔でもないが忘れるほどでもないという具合になっている。

ベルト

ハミルトンのカーフレザーベルト

Hamilton Jazzmaster Day Date Autoのレザーベルト

ハミルトンのカーフレザーベルトの尾錠
カーフレザーのベルトに型押ししたもの。
同じモデルの金属ベルトタイプもあるが、ぼくはレザーベルトを選んだ。

汗とレザーベルトは非常に相性が悪いので、暑くなってきたら純正の金属ベルトと交換しようかなと思っている。

使用感

ハミルトンのジャズマスター デイデイト装着例
サイズは40mm
ドレスな面持ちだが、どことなくミリタリーの系譜も感じさせる。

針が細いので視認性はいかがなものか、と思っていたが存外見やすい。
ただ、針にもインデックスにも夜光塗料が塗ってあるものの、量が少なく申し訳程度にしか光らないため、真っ暗な場所だと認識はかなり困難(まあ、日常生活で手元すら見えない暗さで腕時計を確認する場面はないに等しい)。

主張は控えめな時計だが、12時と6時に位置したデイデイトで個性もありつつシーンを選ばない。

生活に寄り添って愛着の持てるよい時計だ。

まとめ

「何十万、何百万円の時計もありますけれど、数万円でも普通に考えたら安い買い物ではないですから。時計の良しあしを決めるのは他ならぬ持ち主自身なのです」
みたいなことを以前時計屋で言われたのをずっと覚えている。

時間なんて腕時計がなくても確認できる、そういう価値観や時代性も理解はできる。
けれど、伝統の技術と確信が左腕の上にちょこんとおさまっていじらしく動き続けている、そんな健気なプロダクトがぼくは好きなのだ。