1000円カットについて

1000円札

美容室ないし床屋へはみんなどれくらいの頻度で行くのだろう?

その際はどれくらいの時間とお金がかかるのだろう?

タイム・イズ・マネーを地で行く商売がある。
それが1000円カットである。
おっかなびっくりの1000円カット体験。

どうでもいいいきさつ

ぼくの通っている理髪店は生活圏内ではなく、周りは別に繁華街でもない。
だから、そこへ行くときはただただ髪を切ることのみを目的に出かけるわけで、それが時間の都合やら面倒くさいやら、髪が伸び放題になっていた。

ホットペッパーでも見てどこか近場で切りに行こうかななんて考えつつ、それはいつも通っている店に仁義が通せないだろうと変な忠誠心を持っていたりもする。

そんなある日、急に切りたくて仕方がなくなり、「1000円カットでいいか」と思い立つ。
これは仁義に反さないのか?
「時間がなかなかなくてやむなく……」ってことで許されるだろう。誰も気にしないだろうけれど、大義名分的は持っておく。仁義。

1000円カットの流れ

さて、ぼくが行った1000円カットの某チェーン店について。

今はいろんなお店があるけれど、どこも流れは同じような感じだろう。

券売機で利用券を買う

これは食券制のラーメン店などと同じく会計に人を使わずに人件費と時間を節約している。

並ぶ

待っている人が順番に席に座っていて、前の人がカットの番になったら詰めていく。誰が見ても分かりやすい。

切る

さて、肝心のカットだ。

初めて(正確に言うとぼくは初めてではなく、前に飛び込みで行った美容室があまり上手くなかったので多少整えるために1000円カットを利用したことがある。ただ、全体を切ってもらうのは初めて)来る際にまず心配なのは、その技術だろう。
さらに言えば10分で終わるという触れ込みから、下手な上に雑だったらどうしようと考えてしまう。というか、ぼくは考えていた。
あとは今風の髪型の知識が店員になくて、誰もがおじさんみたいな髪型にされるのでは。とか。

だから、いつも切るときは頭がすーすーするくらい短く刈り込んだツーブロックにしていたけれど、最悪いつもの店でやり直せばいいか、と長めに切ることにした。

ビフォーの髪が長い自分の写真も撮っとくべきだったと60パーセント後悔。

気を取り直して。

順番がきて、服をハンガーにかけ、席につく。
同い年くらいのお兄さんが担当である。

「どんな感じにしましょう?」

ぼくはとにかく襟足が伸びているのが気持ち悪かったので、後ろから刈り上げて全体的には長めに残す感じにしたかった。
というわけで、写真を見せた。
髪型のスクショ

「後ろはこんな感じで刈り上げて、上の毛は長く残してかぶせるような感じにしたいです」

「前とか横はどうしますか?」

「この写真の人がどうなってるのかよくわからない(後ろからの写真しかなかった)んですけど、まあなんとなく後ろからナチュラルつながる感じにしてもらえたら」

「うーん、ちょっとよく分からないですね」

あーこれが1000円カットか、と思った。
ひとりに割く時間を大幅に短くするために、カウンセリングをだらだらやらないのである。
要は「おまかせで!」的な感じでとりあえず切ってくれ的スタンスでいくか、入念に「ここはこう、ここはこう、ここはこう」とビジョンを明確にしておくかが重要だ。
間違っても「どんなのが似合いますかねえ」なんてダラダラ感を持ち込んではいけないのだ。

襟足が切りたい、全体的には長め、しばらく切ってないから多少すいて欲しいけれど重めに残す。
などとその場で思いついたなるべく正確なビジョンを伝え、なんとかカットに移行する。

「刈り上げます」
「すいていきます」

細かく報告してくれる。これはこういうものなのか担当した人の趣味なのかは分からない。

で。

カットが終わると掃除機みたいな機械で飛び散った短い毛を吸われる。
シャンプーは行わないためこれでチクチクをなくす算段である。

でも絶対チクチクしそうだなと思った。杞憂だった。ちゃんと吸われていた。

退店する

髪を切った清々しさとともに、店をあとにする。

完成図

1000円カットで切った髪型

1000円カットで切ってもらった髪型

上が切ってもらってすぐ(何もつけていない状態)、下が自分でセットしたところ。

まず言っておきたいのは、10分で切れるということだったが、ぼくはもう少し時間がかかった。
だから、複雑なオーダーをしたら(あまりにもいきすぎていたら断られるかもしれないが)、それを再現するようなるべく努めてくれて、必ずしも10分ではいもうさよなら! となるわけではない。それは良かった。

そして、カット自体も別に下手ではない。
これは個人差があるだろうけれど。

率直に言えば全体的に満足だが細かいところで不満もある。
前髪の厚さイメージと違うな、とか。刈り上げる幅もっと高くてよかったな、とか。
ただ「じゃあやり直しますね」とはいかないだろうから、まあいいかの精神で受け止める必要はある。

それをなるべく防ぐには、やはりどんなふうに切るのかを明確かつ正確に伝えられる準備をしていくこと。
これが1番重要だと思った。

ダサくてもう外に出たくないみたいな髪にされたらどうしようと不安もあったけど、細かいところに目をつぶれば大まかには問題ない。少なくとも赤点ではない。
ただ、下手ではないけれど「1000円でこんなに上手なんだ!?」という驚きもない。
そうだよね1000円にしては悪くないよね。くらい。

1番手っ取り早いのは写真を見せることだな。
1000円カットでイケメンカットモデルの写真を持っていってこんなふうにしたいと言ったら「そういう人はお洒落な美容室行けよ」みたいな空気になるのか? とか思ったっちゃ思ったんだけれど。
別に写真見せたところでそういう感じでもなかったし、むしろ短時間でビジョンが伝えられるため歓迎されるはず。

ただ、ぼくが見せた写真より、ずいぶん控えめな刈り上げになった。
極端なツーブロックで失敗されるよりはいいか。まあいいかの精神。

まとめ

また同じような機会があったら利用するかもしれない。
積極的に使いたいとも思わないが、少なくとも2度と行きたくないというトラウマにも程遠かった。

でもやっぱり行きつけの店が1番いい。
切ったあとカウンターテーブルでコーヒー出てくるし、そこでたばこも吸えるし。
店員全員アメリカンバイク乗りですみたいないかつい風貌してて格好いいんだよ。

(普通の)理髪店で過ごす1時間って楽しいよな、と考えさせられた。