アラサー世代の青春ファッションについて 後編

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ファッションにおいて、世代間のギャップは興味深いものがある。
アラサーの青春時代。
それは、ファッションにおいて谷間の、もしくはカオスの時代だと思っている。

裏原ムーブメントが去り、しかしまだ感じられたその雰囲気。
その中でさまざまなスタイルが表に出てきて、なんでもありの2000年代である。さあ後編。

前編はこちら

メンバー紹介

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(L→R)

ハル
1989年生まれ。ギリギリ平成だけど早生まれなので年度的には昭和63年世代。
GSSMBOYの逆襲ライター。

HAL
1989年生まれ。ギリギリ平成だけど早生まれなので年度的には昭和63年世代。
THE RETURN OF GSSMBOYライター。

インターネットと裏原ブランドの販売方法

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ハル(以下ハ):当時は、ネットが今ほど普及してなかったじゃないですか。

HAL(以下H):そうですね。SNSも全然。ミクシィが一番ポピュラーで、ツイッターっていつからあったっけな。17歳とか18歳の頃だった気がしますけど、あんまりやってる人周りにいなかった。

ハ:だから、服の新作も、こっそりリークされるような感じで。

H:はいはい。多分裏原系のブランドが多くやってた感じの売り方だと思います。ぼくあんまりそっち方向行かなかったから、はっきりとはわからないけど。若干、世代的にも後追いって感じですし。当時、人気あったのはなんだろうな。やっぱり最初に思いつくのはエイプですね。あとはデビロックとかヘクティクとか。

ハ:グッドイナフとかネイバーフッドもそこに括られますけど、なんかブームが去ったあとはちょっと毛色違う感じでしたね。今のイメージに近いっていうか。ストリートブランドっていうよりもっとアメカジとかバイカー寄りな男くさい感じで。でも、その辺のブランドは通ってないんですよね?

H:通ってないですね。エイプだったらマイロとかPLAYコムデギャルソンだったらハートマークとか、ああいう初心者向けアイテムみたいのをちょっと馬鹿にしてました(笑)
play comme des garcons
自分がバンドやってたのもあって、Number (N)ine*1はめちゃくちゃハマりましたね。

ハ:ナインも裏原系と一緒に語られることが多いですね。

H:でもお店は当時恵比寿にあって。で、新作の情報が全然分かんないんですよね。雑誌に載っても、その商品がいつ発売されるのかが分からない。ナインの公式サイトも何もアナウンスしないんですよ。

ハ:はいはいはいはい。確かロゴだけ書いてあって。その他の情報一切ないやつ。

H:その謎だらけの感じも格好良く見えました。どこクリックしても反応しないんです(笑)

ハ:今だったら、SNS駆使して告知されますからね。情報を絞ってても、店員と仲のいい誰かがブログ書いたりつぶやいたりしちゃう。

H:当時だと、BBSなんですよ。BBSって懐かしくないですか?(笑)

ハ:今ほとんど言わないですねBBS(笑)ナインの好きな人が立ち上げた非公式のBBSがあったな。そこで「泰八郎*2コラボがいついつ出る」だとか「いやそれガセ。俺は店員に聞いたから間違いない」だとか、全部胡散臭いんですよ(笑)

H:それでもなんやかんやで並びが出来るっていう。今だとSupremeと同じですよね。

ハ:そう考えると今も昔も変わってないのかな。っていうか検索したらありましたよ。BBS。残ってるもんだなー(笑)

伊勢丹メンズ館

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H:アンダーカバーとかは好きでしたか?

ハ:気にはなるけど買うほどじゃない、って感じでした。ただ、お店の立地がよかったですね。ナインだと恵比寿だから面倒くさいんですよ。原宿行って、表参道見て、裏原宿見て、そのまま青山まで歩いてアンダーカバーとかも見られたから。今見ると改めて惹かれるものも多いです、アンダーカバー。

H:ストリートの感じと、コレクションブランドの感じとあって。有機質な感じと無機質な感じが混ざってました。

ハ:その辺って、日本のブランドの中でもなんとなく孤高の存在に見えたんです。ドメスティックブランドっていうのともまた違う感じ。まあ海外でコレクションやってたからっていうのもあると思うんですが。それが、新宿の伊勢丹メンズ館に入って。

H:あれ、なかなかビッグニュースでしたよね。

ハ:路面店で数も情報も絞って、売る気あんのかよみたいな態度で売ってたブランドたちが、デパートに入っちゃうっていう。ナインもアンダーカバーも入りましたね。デパートの店員はきっちり教育されているから、路面店と全然態度違うんですよ(笑)

H:ぼくはナイン、伊勢丹で買ってましたもん(笑)

POPEYE

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ハ:雑誌で言うと何が好きでしたか?

H:メンズナックルとかは読んでなかったですけど、なんかもう置いてあるやつ全部読んでました。ちゃんと買ってたのはポパイとメンズノンノくらい。

ハ:ポパイって、今と全然毛色違いましたね。

H:はい。セレカジっていう言葉をプッシュしてました。あれは、何の略だったんだろう(笑)セレブカジュアル?

ハ:じゃーん。
昔のポパイ
H:うわ出た(笑)あ、セレカジじゃなくてエレカジか。エレガントカジュアル。
エレカジ
ハ:メンズノンノは古着とかも載ってて、王道のトータルコーディネート雑誌って感じで。今とあんまり変わらなかったかな。ポパイはカタログ的。今みたいなカルチャー感全然なくて。載ってるものがまず高い。

H:ぼくらの新定番、で最初に出てくるのがディオールオム。前編に出てきた腰まで開いたノースリーブ(笑)高いわ着る場面ないわで、全然定番じゃない(笑)
昔のポパイ
ハ:他にもマルジェラとかヴィトンとか、これが定番って言える層はこの雑誌を読んでいたのだろうか(笑)

H:でも「あーこれ格好いいなー」って眺めてる価値はありましたね。安く似たような服探したり。それこそ古着とか。

ハ:そこで失敗して自分に似合うもの見つけていく感じですよね。

エイネットと女子

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H:女の子のファッションだとどうでしょうか。

ハ:当時はエイネット系列がめちゃめちゃ人気あった。ズッカとかフラボアとかツモリチサトとか。今は世の中がシンプル指向だけど、当時はもっと個性的なほうが売れたんでしょうね。ぼくもフラボアは結構買いました。サルエルパンツとかジャガー*3とか。青山のお店の店長が、オネエっぽかった(笑)

H:SHAKALABBITSのUKIちゃんとかに憧れた、古着女子がたくさんいましたね。なんかこういう画像を携帯の待受にして。
古着デコ待ち受け
ハ:うわ、あったなこんなの。今見るとなんだかなーって感じですけど、こういうのも世の中が仕掛けたわけじゃなくて消費者のうちの誰かが作り出して流行ったって考えると面白い。あと240×320に時代を感じる(笑)

H:あ、エイネットといえば当時付き合ってた女の子がネネット大好きでした(笑)

ハ:ネネット!これちょっと、ぼく言いたいことあります。昔、ネネットってもうちょっと……言い方が正しいか分からないけど、お客さんを選んでる感じのブランドだったんですよ。

H:ほう。

ハ:で、PLAYみたいな感じで、いちげんさんにはにゃーを売る、みたいな。でもいつの間にか気づいたらにゃーばっかり売ってる店になってたんですよ。まあこれも、時代に合わせて売り方変えないと生き残れないってことなんでしょうけど。

H:そういうのってなんか切ないですよね。NIGOが「エイプでやりたいことはもうやった」と言ってブランドを手放したのは、格好いい去り際だと思います。

ハ:あとなんだろうなー。女の子といえば、CanCamとかの感じ、嫌いでしたね。みんなパステルカラーの服着て、てろっとした素材の。大体似合ってないんですよ(笑)当時付き合ってた女の子にCanCam読ませてもらったんですけど、雑誌の厚みにびっくりした記憶があります。

H:ジャンプくらい厚かったですね(笑)エビちゃんブームだ。

ハ:あと、みんなガルシアマルケスのバッグ持ってた。
ガルシアマルケスのバッグ
H:あー!持ってましたね!久々に聞いたけど、今あるのかな(ググる)……クリスタルボールっていうブランドが出てくる。改名したのかな。犬のロゴは一緒だ。

ハ:出ました。生き残りの術。

H:ストリートスナップでいくと、TOKYO BOPPER*4がめちゃくちゃ人気で。

ハ:男も女も履いてましたね。雑誌の露出も全然ないのに。ほんとあれは原宿カルチャーって感じで、スナップとか口コミ経由で広がっていってたんだろうなあ。

H:スタイリストのてっぺい*5さんとかが履いてて。ぼくも何足か持ってましたね。
tokyo bopper マウンテンブーツ
ハ:そうそうこのマウンテンブーツ。替えの紐も一緒に売ってて、買ったなあ。何本かセットで色がなんパターンかあって。友達と一緒に買って、使わない紐トレードしたりしたんですよ。男同士で同じ靴履いて、今考えると結構危ないな(笑)あとこれ。
ベリーボタンのベルクロスニーカー
H:うわ、ベルクロスニーカー。これもボッパーの定番でしたね。こういうテイストのスニーカーってモードブランドがよく出してた。これ、結構いい値段するんだよな確か(笑)

下北沢

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ハ:下北沢に初めて行った時、「?」ってなりました。

H:お洒落と音楽の街、みたいなイメージ刷り込まれてますよね。

ハ:そうです。で、駅降りて、「え、俺の地元と変わらねえじゃん」みたいな(笑)もっと色々栄えてると思ったんですよ。でも建物は低いし、どこに何があるかよくわかんないし、ナニコレって。ミキリハッシンとかヘイト&アッシュバリーとか人気店に行っても、他の古着屋との違いがいまいち分からない。

H:そもそも、古着にそんなにハマってないですもんね。安いから好きだっただけで。
下北沢
ハ:スナップでトップス:ヴィンテージとか書いてあると「はあ?」でした(笑)そこで古着って書くよりヴィンテージって書いたほうが響きがいいんだな、と。どうせ写真見た限りじゃヴィンテージなのかどうかわかんないし、そもそも実物見てもわかんないし(笑)

H:よっぽどアイコニックなものじゃないと分からないですよね。ジーンズとかスニーカーくらい。

ハ:マルコマルカっていうブランドがあって、当時ラフォーレ原宿にお店が入ってたんですが、下北にアウトレットがあったんです。ぼくそのブランドでちょくちょく買ってて。めちゃくちゃ派手なんですけど。

H:なんか色んなところに手を出してますね(笑)

ハ:そういう時代だったってことで(笑)そこの店長もオネエっぽくて、ていうかオネエそのもので(笑)ガタイのいい友達連れてくと安くしてくれるんですよ(笑)

H:(笑)

ハ:「マッチョ割」とか言ってボディタッチされて(笑)ぼく体育会系の友達が多かったんでよく一緒に行きました。ぼくのガタイじゃ駄目なんですよ、華奢で。「ハルだけじゃ安くしません」って宣言された(笑)

H:友達はいい迷惑じゃないですか(笑)

ハ:いや、ノリノリで、しかも友達もそこで服買うんで問題ないです(笑)スナップって言えば、担当の美容師さんの名前書きがちでしたね。「○○さんいつもサンキュー」みたいな。

H:内輪ノリが格好良かったんでしょうね。「俺は青山でいつも髪切ってるし美容師とも仲いいぜ」みたいな。美容師といえばおしゃれキング*6とか読モの走りだし。そこと繋がってるってのがステータスだったという。

そして現在へ

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ハ:どの辺からシンプルな服装になりますか?

H:20歳くらいですね。ぼく大学の軽音サークルにいたんですけど、今考えると軽音サークルって流行からすごい遠いところにいるんですよ。

ハ:あ、分かります。ぼくも軽音サークルだったんで。男も女もバンドTシャツ着てるし、あとなんか、チチカカ*7とかで売ってそうな……吉祥寺とか下北っぽい、ゆるい民族衣装みたいなやつとか。

H:フェスとかで着そうなやつ。

ハ:はいはいはいはい。

H:せいぜい、ブランド物って言っても、ヒステリックグラマーとかオゾンロックスとか。そのくらいで、みんな思い思いな感じで。その中でぼくが結構影響された奴がいて、そいつがシンプルな服着てたんですよね。コンバースのオールスターしか履かず、3足黒いのをストックしていて、履きつぶしたら買い足すマン

ハ:大学生でその境地ってなかなかですよね。

H:その辺で着飾るのが段々魅力的じゃなくなりました。ジーンズが好きになったのもその辺。お洒落と格好よさは比例しないもんで、格好いいとは何かって方が重要に思えてきた。

あとがき

ふたりの話題はなかなか尽きず、二軒目に行くぞと言って、そこでもまた洋服談義で盛り上がったそうです。



えー、ノリで書き始めたこれ、途中で「俺が二人いるっていう設定必要なのか」とか「絵描くの面倒くさい」とか……
なんでこんなことしてんだとすら思った。

でもまあ結構共感してもらえるところは多いんじゃないかなって気がするし、客観的に自分の服のバックボーンとか時代背景とか見られて楽しかったかな。
昔のファッション誌って結構テンション上がるね。メンノンもポパイも10年以上前のだぜ。

こういうことをまたやるかは分からない。っていうか次回はちゃんと対人がいいかな。
おしまい。

*1:現在タカヒロミヤシタザソロイストのデザイナーを務める宮下貴裕がかつて立ち上げたブランド。

*2:日本を代表する、鯖江の職人眼鏡ブランド。また、その職人の名前。

*3:月星化成が作っていた上履きみたいなスニーカー。

*4:表参道から一本入ったところにある靴屋。オリジナルブランドの商品を扱っている。

*5:当時のスナップ常連。

*6:雑誌チョキチョキ内で一部の読者モデルに与えられる称号。

*7:カラフルでサイケデリックな、中南米系をモチーフにした雑貨屋。

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