まあチャックテイラーやオールスターは、合わない服を探す方が珍しいから、ずるいっちゃずるいんだけれど。
タイトジーンズとボリュームのないスニーカーのラインが綺麗だ。
そんな感じでここ最近はコンバースが気になっていた。
日本のコンバース、アメリカのコンバース
この章は読み飛ばしても構わない。長いので。
便宜上あて布や例のヒールパッチ、プレイヤーズネームなどのディテールを持つオールスターをチャックテイラー、それ以外を単にオールスターと書く。
アディクトのチャックテイラー復刻、日本製のオールスターJ、定番のオールスター。
すごくざっくり分けると、日本のコンバースで出ているチャックテイラーやオールスターはこんな感じで価格的に3段階。
それぞれ16000円〜、12000円〜、5000円〜くらい。
個人的にずっと思っていること。別に日本製になんてしなくていいし、ビブラムソールやアウトラストのライナーもいらないから、1万円くらいでオンスの高いキャンバス地、あて布やヒールパッチを再現したチャックテイラーを定番として出せばいいのに。
でも、日本のコンバースは頑なにやらない。
それをやるとアディクトの価値が下がるからだろうか。売れると思うけどな。
現在新品で手に入るチャックテイラーといえば、アディクト以外にアメリカのコンバース(以下米コンバース)のCT70も有名だ。
米コンバースのプレミアムライン(時期によって名前が変わるので正式名は割愛)も正規流通圏ではせいぜい90ドルくらいのものだという。でも日本でCT70を買うと15000円くらいする。正規代理店がないので価格はまちまちだが、大体それくらい。かなり上乗せされる。関税とかもあるけど、人気にがあるから高めの設定になってるのだと思う。
CT70は海外旅行のお土産にプロパーで買うのが吉らしい。
要は、前から1万円くらいでチャックテイラー復刻してくれたらいいのに、と考えているけれど、それは日本のコンバースでは実現されず、米コンバースでは実現されているのに輸入したら結局高くつくってこと。
絶対いるはずなんだよ、「チャックテイラー15000円、レザーなら2万超えって高くない? 欲しいけど……でもなあ」みたいな人。
何が良くないかって、定番オールスターがちゃちすぎることだな。シルエットも、素材も。価格なりといえばそれまでだけれど。
ちょっとブラッシュアップしてくれたっていいのに。
チャックテイラーをアディクト以外で復刻しない代わりに、日本のコンバースはインラインのオールスターで色々実験的な試みをしている。
自分でペイントするものとか。軽量なものとか。チャックテイラー風だけどなんか違うヒールパッチやらリアクトインソールを備えたものとか。USオリジネイターとかいうもう日本のコンバースなのか米コンバースなのかわけわかんなくなっちゃってるものとか。
インラインでは、基本的にヴィンテージの復刻ないしそれに近いことはやらない。どちらかと言うと新しい試みをしている。半分くらいはスベってると思う。
そういうのじゃなくて!
いい感じにしゅっとしたフォルムのチャックをお手頃価格で作れよ!
で、見つけた。
チャックテイラーではないんだけど、その気持ちに応えてくれそうなオールスター。
CONVERSE e.c.lab ALL STAR HI FOOD TEXTILE
e.c.labというのはサステナビリティにこだわったライン。
これは初代のモデル。
色はブルーマロウ。淡い水色。
ハーブティーの規格外品から染めたもの。
e.c.labはこんな感じで地球に優しいことをモットーとしている。初代はその他の色にサクラ(散ってしまった桜から染色、淡いピンク)、ドリップコーヒー(ドリップコーヒーを抽出したあとの出がらしから染色、淡いブラウン)がある。
全体的に優しくスモーキーなカラーだ。
ヒールパッチ
ここは定番オールスターと同じ。
アンクルパッチ
モノトーンになっている。
ちょっと特別感があって好き。でもCT70の立体的なアンクルパッチと比較すると中途半端かもしれない。
タン
裏にFOOD TEXTILEのロゴとカラー名。
アウトソール
定番オールスターと異なる。
リサイクル素材が混ざっていて、ところどころに何かのかけらが見える。
インソール
Ortholite Ecoが使われている。取り外しはできない。
Ortholiteはわかるけど、Ecoってなんだというわけで調べてみた。
生産過程で使われる材料を天然素材にすることで、CO2を削減している、みたい。
ちなみに、日本のコンバースでOrtholiteが採用されているのはそこそこ珍しい。たまにあるけど。
Ortholiteはスニーカーならばナイキやアディダス、ブーツでもホワイツ等に採用されている由緒正しきメーカーだ。
シューレース
定番オールスターは化繊だが、e.c. labではコットンシューレースが採用されている。
シルエット
1番大きな違いはシルエット。
ネットで写真を見た時に、色やエコな部分じゃなく、まず「なんかいつもと形違くない?」っていうところが気になったのである。
手元に定番コンバースがあれば比較できるんだけど、持ってないんだな。
定番コンバースって最後に買ったの10年近く前かも。
仕方がないので日本のコンバース公式サイトからの写真を見てみる。
これでも随分違いがわかる。
ピンクの方がe.c.lab、赤い方が定番オールスター。
トゥキャップのサイズ感と、フォクシングテープの幅というか高さが顕著に違う。平たく言えば、シルエットがシャープだ。
サイト内ではトゥスプリングが低めのクラシックなシルエットという表現がされている。
トゥキャップ以外も違うんだろうけどここが一番わかりやすい。
というわけでアディクトのチャックテイラーとトゥキャップ周りを比較してみる。
左がアディクト、右がe.c.lab。
e.c.labも定番オールスターと比較すればシャープになっているんだけど、チャックテイラーと比較するとまたちょっと違う。
さすがに同じとはいかないか。
しかしそもそも日本のコンバースがインラインで新しいラスト(足型)を作ったという事例がかなり珍しい。
このアディクトはここで使用したもの。
定番オールスターではない(インソールが取り外せたりする)が、相当昔に買って下駄箱の肥やしになっているレザーオールスターとも一応比較してみる。定番オールスターではないがたぶんシルエットは似たようなものだと思う。
左がレザーオールスター、右がe.c.lab。
やはりトゥキャップ周りのシルエットが全然違う。トゥキャップがポッコリしすぎていると途端に間抜けな感じになる。
ぎゅっと縛った図。
デカ履きはしておらず10ハーフがジャストサイズ。
シャープなラインが分かる。
結論!
チャックテイラーではないが、定番コンバースからはずいぶん洗練されている。
まとめ
全体的な雰囲気はかなりいい。
あて布はないし、ヒールパッチは定番オールスターと同じだけれど、明らかに定番と一線を画している。
アディクトなどの弾数の絞られたもの以外、日本のコンバースで発売されるオールスターって基本的に注目度が薄いと思うんだよね。お店でたまたま見つけて買うようなものじゃん?
新作を毎度チェックしている人なんてほぼいないはず。
e.c. labも、今既に第3弾まで出てるんだけど、ぼくはそこでようやく知った。
結局チャックテイラーではないから、「チャックテイラーがほしい」っていうニーズは満たせないと思う。
でも「手頃な価格でかっこいいコンバースがほしい」っていうニーズには、丁度いい。
同シリーズ第2弾 化学染料を使わない生成りカラー
同シリーズ第3弾 デニム生地を使用したローカット